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  • 【vol.22】和紙とは、なにか。

    【vol.22】和紙とは、なにか。

     

    JapanCraftBookプロジェクトは、「主に和紙を使って本を作る」を大切な柱として掲げています。

    日本には1000年も持つ強靭で美しい紙があるというのに、日本人自身がその紙の魅力に触れる機会があまりに少ないという現状、和紙職人さんの仕事が激減しているというお話を聞く中で生まれた、ある意味とても安易な発想です。

    また、「白い紙は神に通ずる」といわれ、神事や祝い事には欠かせないものです。

    清らかな水に潜らせ、丁寧に漉き上げられる和紙には、日本人の精神性が息づいているとも言えます。神様の物語を綴り、描くのであれば、紙にもこだわるべきだと思いました。

     

     

     

    なのに私は、マスミ東京の横尾靖さんにお目にかかるまで、和紙には決まった定義がない、ことを知りませんでした。

    和紙の定義は人によって様々で、「手漉きでなければ和紙とは呼べない」という方もいれば、「海外で作った紙でも日本の伝統工芸の流れに沿ったものであれば和紙である」という方もいる、というのが現状だそうです。

    そもそも「和紙」という言葉が、明治時代にやってきた西洋の紙と区別するために生まれたものです。

     

     

    (島根県・浜田市にある西田和紙工房さんに伺ったとき見せていただいた楮畑)

     

    そういえば、100円ショップでも和紙の便箋や千代紙を売っています。

    それらはコウゾやミツマタ、ガンピなどが原料ではなく、木材パルプを使って和紙の雰囲気に似せたものですが、現代の暮らしの中では、すでに「新しい和紙」として定着しています。

    それが一概に悪いとは言い切れない、と最近は思うようになりました。

    もちろん幼い頃から本物の和紙に触れた方がいいに違いないのですが、「障子に月明かり・・・」という暮らしがなくなってしまった今の日本において、例え和紙風のものであっても、伝統工芸の片鱗(と言ってよいのかも微妙ですが)に少しでも触れ続けていることが、ある意味重要だと思うからです。

     

     

     

    さて、焼火神社の神楽を描いた『神迎え』は、画家・水野竜生先生の絵を西田和紙工房(島根県浜田市)の石州手漉き天日干和紙に特別な手法で印刷し、黒の洋紙にシルクスクリーンで物語を綴ったものとミックスする形で制作しています。

    この『神迎え』は、コストのことはいったん脇において、自分達が一番美しいと思うものをまずは作ってみよう、という考えで進めています。

    売値とのバランスを考えると、なかなか厳しいものがありますが、人の手によって1枚1枚丁寧に作られた和紙を使ったからこそ宿った静謐さと力強さがあります。

    だんだんと形になる中で、「本」というより、「アート」の扉が開いたという感覚をもっています。

     

     

     

    その反面、もう一つ同時進行で進めている、焼火神社の縁起を描いた『御神火』は、広く手にとってもらいやすいものにしなくては、と考えています。

    地元で永く大切に語り継がれてきたおはなしを題材にするからには、地元の方に愛される本にしたい、と思うからです。

    そのために、どこまで素材にこだわるかは大きな問題です。

     

    先日の打ち合わせ時、篠原紙工の篠原さんとデザイナーの谷さんに「今一度伺います。稲垣さんの定義する和紙とはなんですか?」
    と尋ねられました。

    「……」

    どの業界にも、どの仕事にもある、理想と現実の狭間でしばし足踏みしています。

     

    Japan Craft Book プロジェクト 

    代表  稲垣麻由美

     

    ※こちらの記事は、Japan Craft Book メールマガジンのバックナンバーです。ご登録はこちらより。

    ※HPにて、プロジェクトのご案内をしております。https://japancraftbook.com/

  • 【vol.21】日本の造本美―名著複刻全集

    【vol.21】日本の造本美―名著複刻全集

    『名著複刻全集・近代文学館』をご存知でしょうか?
    明治から昭和初期の名著といわれる本の初版本、全112点136冊を昭和43年から10年近い歳月をかけて完全複刻したものです。

     

    戦時下に散逸、消失した書籍が多い中、初版本を蒐集すること自体も難を極めたそうですが、当時の研究者と選び抜かれた職人たちが集結して、紙、活字、挿絵、カットに至るまで完璧に再現。同じ紙がなければ特漉きしたという徹底したこだわりぶりで、文学の粋美を集めた伝説の豪華出版と言われています。

    実は私はこの全集をある方から譲り受け所有しています。下の写真がその一部で、毎月、この中から1冊を選んで「文学と花」の講座なども開催しています。
    https://m.otonami.jp/3zbMwbW

    それにしても、日本人はこんなにも美しい本を作っていたのかと驚きます。
    作者が趣向を凝らして画家に注文し、画家も精魂を傾け、装幀、口絵、活字の配置に至るまで心を配り、お金をかけてきた出版文化が永くあったのです。

     

    ジャパンクラフトブックプロジェクトを立ち上げたきっかけが、インドのタラブックスの『夜の木』に出逢って、「こんな美しい本を日本でも作りたい」だったことは、これまでに何度かお伝えしてきましたが、灯台下暗しもいいところでした。

    そして、この全集を譲り受けたのは、プロジェクトのメインコピーとなる「日本の美を掌に奏でる」という一文を思いついた数日後だったのですから、ご縁の不思議に驚きます。

    例えば、上の写真は造本美の頂点といわれる谷崎潤一郎の「春琴抄」。
    漆塗りの表紙に題字は金蒔文字。見返しの黄色い手揉み和紙とのコントラストも美しく、これは谷崎自らの創案によって実現したものですが、典雅な趣きに目を見張ります。

    また、漱石の「こころ」も見事な自著自装本です。
    橙色の地に石鼓文の模様の表紙は有名でご覧になったことのある方も多いのではないでしょうか。岩波書店第一号となったものですが、箱・表紙・見返し、扉、奥付の模様、題字、朱印、検印まで全て漱石が考案して描いています。

    (芥川龍之介『侏儒の言葉』(文藝春秋出版 昭和2年刊行) 装幀は小穴隆一)

    また、尾崎紅葉の大ベストセラーとなった「金色夜叉」もぜひご紹介させてください。紅葉が装幀に組版に口絵にと意を凝らした美装本としても天下に流布したシリーズです。

     

     

    ・・・と、この複刻全集のことを紹介し出すと止まらないのですが、情報が氾濫する現代と比べ、文学作品の数も桁違いに少なく、出版社も著者も1冊の本にあらゆる工夫と情熱を傾けた時代があったのです。
    贅沢で優雅な時代でもあり、文学者たちの理念や感受性が、本の姿にも表現されていたことがよくわかります。

     

     

    ちなみに、日本に西洋式の製本術が輸入されたのは明治6年のことです。
    当時、印刷局(現・財務省)の製本師として雇われたイギリス人のW・Fパターソンによってその技術が伝えられ、西洋式の製本形式が広く行われるようになったのは明治38年ごろといわれています。

    文学と美術が一体となった時代の本は、手仕事の技術の粋が生んだ精華でもあるのです。

     

    ジャパンクラフトブックプロジェクトでこれを再現したいのか?
    いえ、そんな大それたことは思っておりません。

    ただ、日本人ならではのこのDNAを引き継ぎつつ、共感してくださる方と1冊1冊、現代にあった方法で形にし、地道に発信していくことを続けていきたいと思っています。

    そのためにも、応援してくださる企業との連携も模索中です。

    「このプロジェクト、なんだか面白そうじゃないか」と思ってくださる企業・個人の方、ぜひご連絡ください。お待ちしております。

    (写真協力 Otonami)

     

    Japan Craft Book プロジェクト

    代表  稲垣麻由美

     

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    ※HPにて、プロジェクトのご案内をしております。https://japancraftbook.com/

  • Japan Craft Bookプロジェクトのウェブサイトが完成いたしました。

    Japan Craft Bookプロジェクトのウェブサイトが完成いたしました。

    「掌に美しい日本を奏でる」をメインコンセプトに、一凛堂が事務局を務めるJapan Craft Bookプロジェクトは2022年よりスタートしました。

    現在、画家・作家・伝統工芸職人・デザイナー・表具師など様々なクリエイターが集い、島根県・隠岐諸島にある焼火神社(西ノ島)を題材とし、日本の美、日本の神様を題材としたアートブックを制作中です。

    そして、Japan Craft BookプロジェクトのHPが公開となりました。
    美しい動画によって、このプロジェクトの解説をご覧いただけます。

    Japan Craft Book プロジェクト ウェブサイト
    https://japancraftbook.com

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    なお、2022年11月よりニュースレターを発行し、プロジェクトの進捗をご報告して参りました。
    本やアート、伝統文化にご興味をお持ちの方に、Japan Craft Book (JCB)の存在をぜひお知らせいただけますと幸いです。
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