今日、出逢った
人生の先輩の言葉が
まだ胸に渦巻いている。
「君は、人生は何のためにあると思うかね?」
「私は、そうですね…
愛を学ぶためにあるのだと思います」
「では、愛さえあれば生きていけると思うかね?」
「う……愛があれば生きていける……と、思います」
「いや、愛だけでは、生きていけないものだよ。
人間は、生きがいや、存在価値などを自分で持ててこそ、幸せでいられる。
それがない状態で誰かを深く愛せるかというと、難しい。
また、それがない状態で誰かに愛されても、難しいものだよ。違うかね」
「……」
「僕はね、この歳になり、なんだかますますそう思うんだ」
70代写真家と
50代文筆家の会話である。