つれづれ

恋心と色気

今日は大好きだったあの方の3回忌。
あの方は85歳でこの世を去っていかれたけれど、
きっとあの世でも、プレイボーイな気がする。

いや、プレイボーイという言葉自体が、
もう死語か?

さて、あの方は、毎朝PCを開くのが楽しみだ
とおっしゃっていた。


「どうしてですか?」
と尋ねるとこう答えられた。

「僕のね、PCを開くためのパスワードは8桁なんだ。
それは、小学校から今現在まで、好きになった女性の頭文字から
構成されているんだよ。初恋のよしこちゃんのYから始まるんだ。
それで最後は、今、ときめいているSさん^ ^」

「えっ、ちなみに、奥様はその8桁の中の何番目ですか?」

「君は無粋なこと訊くねぇ〜」

「えっ、だって・・・」

「まぁとにかく、このパスワードを開くたびに僕は幸せな気分になるんだ」

「それ、めんどくさくないですか?」

「おいおい」

「えっと・・・。わたし、片手にもならないかも」

「まさか、君はそれだけしか恋をしてないのか?!」

「そう言われれば、そうかも」

「そりゃあ、いかん。なんて、色気のない人生だ」

「うっ・・・」

「君は、人生の楽しみを半分以上味わっていないことになる」

「えぇ〜。そうですかね。結構楽しい人生ですよ」

「いやいや、楽しいって言っているうちはダメだね。
いい人生だった、って言えるように生きなさい」

こんな話をしたのも、1月の寒い雨の日だった。

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