ちゃんと伝えていれば、
相手の反応は全く違ったのかもしれない。
そう強く思う出来事があった。
神道の言葉に「言挙げせず」というものがある。
「言挙げ」とは「言葉に出す」という意味で
まさに、言葉に出さないこと。
日本人は多くを語らず、互いの気持ちを察し
心で感じることを大切に過ごしてきた。
ただ察するには、相手を見ていなければならない。
会わずにメールで済ませることが多い相手に
そういえば、これは機能しないのだった。
見せていないのに、察してもらえるはずがない。
わかってもらえるだろう、とこちらが思うのは
ひとりよがりなことだったことに、
すっかりことが過ぎて気づいた。
SNS全盛時代となり、伝えないと感じ取ってもらえない、
が、加速している。
その人から発信されるものは、
大抵、真実と異なるのに。
見せたいところだけを見せた世界は
少しゆがんでいるのに。
言挙げせず。
この美しい言葉が、尊く感じる。