Japan Craft Book メールマガジン

【vol.35】想いを託して 造本家・新島龍彦

ある日、突然、

「そうだ、日本の神様の物語を 日本の紙(神)に綴ろう」

と何かの啓示を受けたように思ったのは 2年半ほど前のことになります。

それは、 大事な宿題を忘れていて、はっと思い出したような はたまた、「これが、ずっと探していたことだった」

そう思った瞬間でした。

篠原紙工さんでの会議  特装版を納める桐箱の大きさなども入念にチェック

それから、何かに導かれるまま、 まさに、かんながらに歩んできたら、 たくさんの人に出逢えました。

全てが、必要なタイミングで、必要な人に。

そんな中のお一人。 この、指が長く美しい職人の手をした人をご紹介します。

この方は新島龍彦さん。 製本をお願いしている篠原紙工の制作チームリーダーであり、造本家としてもご活躍です。

https://tatsuhikoniijima.com/


私は新島さんがご自身のサイトに綴られたメッセージが大好きで、これまでにおそらく千回近く読み返しています。

その中の一つをご紹介します。 「本の脇道」

https://tatsuhikoniijima.com/philosophy/

「本は情報と想いを伝えるために生まれる。 内容を読み手にしっかりと届けることに本の使命がある。 それこそが、本の王道だと思う。

にもかかわらず、その王道に沿って歩いてきたつもりが、気づけばわたしは脇道のようなところを歩いている。 本が本として生まれる時に、記された内容とは別の意味や価値が生まれるのではないかという、王道からは外れた道だ。

それは、本を手に取る人に本の内容だけではなくて、本が生まれるまでに起こった物語や、本を作ることを決めた人の想いに、価値を見出してもらいたいと願い、本を作っているということ。

本が生まれようとする場所に生じるエネルギーや想いは、それだけで人の心を潤す、本の内容と同じくらい価値あるものだと、わたしには思えてならない。 そういった想いとエネルギーに支えられて、本はこの世界に存在している。

本を作る時に自分の想いやエネルギーが見えすぎてしまうのはわたしの未熟だ。 それでも、その脇道はこれからの本の在り方のひとつとなるのではと、わたしは信じて歩いている。」


この方、そして、篠原紙工の仲間の皆さんに、たくさんの想いが詰まった本作りの最後、形にするという、最も大事なところを託せられることを心から幸せに思います。

これまでもお伝えしてきた通り、 『神迎え』特装版の最後のページには、水野竜生先生の原画が入ります。 神楽の舞人を描いたもので、1点1点違う絵となります。

さて、どうやって原画を入れるのか・・・


デザイナーの谷さんが試行錯誤し、辿り着いたのは、黒い台紙に針で穴を空け、石州和紙で作られた赤い糸を使って四隅を留めるというもの。

印刷機を使うこと以外は、すべて手作業の本がいよいよ誕生します。

刊行日を2024年1月1日と決めました。 予約販売を Japan Craft Book のサイトで受け付ける予定です。 また改めて、ご案内させていただきますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。

今号もありがとうございました。

Japan Craft Book プロジェクト 代表
稲垣麻由美
official@japancraftbook.com

ーつづくー

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