タグ: #Japan Craft Book#社家#焼火神社#石塚芳秀#神楽#隠岐島#祈祷神楽

  • 【Vol.44】室町時代から続く唯一の社家・石塚芳秀氏

    【Vol.44】室町時代から続く唯一の社家・石塚芳秀氏

    2024年2月、『神迎え』を焼火神社へ奉納に行った際、
    直接お話を伺ってみたい、とずっと思っていた方に
    漸くお会いすることができました。

    その方は、室町時代より続く、神楽を専業とする隠岐特有の社家(しゃけ)
    という家に生まれ、現在、隠岐島前神楽保存会・会長でもある石塚芳秀氏です。

    かつて、社家は島後(隠岐島)に13家、島前(西ノ島・中ノ島・知夫里の3島)
    には5家あったそうですが、現存するのは、石塚家のみ。

    明治までは、一般の人が神楽を舞うことは一切許されず、
    演じるのは社家に生まれた人のみ。
    門外不出の家伝秘伝として隠岐神楽は継承されてきたのです。

     

    そんな背景を持つ石塚氏に『神迎え』をドキドキしながらご覧いただくと、
    第一声が「これまで、いろんな人が研究や取材に来たけれど、
    動画でもなく、写真なしの本を作った人は初めてだ」でした(笑)

     

    確かに、神楽で重要なのは「舞」と「奏楽」。
    その大事な要素を、見る人の想像に委ねる形に仕上げたというのは、
    かなり冒険だったのかもしれません。

    さて、現在73歳の石塚氏の舞デビューは5歳だったそうです。
    高校から四国へ。そして、大学は東京へ。
    東京で一旗揚げるつもりで頑張っていたのに、島の人たちから
    「このままでは隠岐神楽が消えてしまう。帰ってこい」との切実なラブコールを度々受け、
    4度目に島に帰ることを決めたのだそうです。

    ただ、神楽だけで食べていける時代ではなく、隠岐島前教育委員会に職を得て、
    17時以降は神楽を伝えることに専念。一般の方にも門戸を開き同好会を設立。

    その後、プロ集団となるべく保存会も誕生し、今現在、15名の方が研鑽を
    重ねていらっしゃいます。また、同好会には小さな子供から高齢の方まで楽しく、
    そして、都会から移住してきたIターンの方もたくさん参加されているとのことです。

    隠岐神楽は、離島ということもあり、外部からの影響を受けず、
    何百年にもわたって続く祈祷神楽としての特色がそのまま残っているのが最大の特徴。
    今も舞うスペースが畳2畳分と決まっているのは、個人宅でも祈祷してきた歴史ゆえのこと。
    そして、どこか呪術的な独自のリズムを刻むお囃子も1度耳にすると忘れることができません。

    「娯楽として楽しめる、神話を題材としたストーリー性の高いものもありますが、
    本来はやはり、神様や自然への感謝と祈りを表すものが神楽だと思います」
    と静かに語る石塚氏。


    そして、今後について尋ねると、
    「実は去年、息子を東京から戻したんです」と、にっこり。
    石塚さんは何度、ラブコールを息子さんに送ったのでしょうか。

    1000年近く続く社家というものが、形を少しずつ変えながら、
    これからも確かな意志を持って存続していくことに、隠岐という場所、
    いえ、日本の奥深さ、底力のようなものを感じたのでした。

     

    さて、この夏、焼火神社の例大祭にあわせ、
    「焼火神社&隠岐島前神楽ツアー」(2024年7月22ー24日)を計画しました。

    詳細はこちら。
    https://japancraftbook.com/news/oki-tour/

    ご興味おありの方は6月12日までに、
    こちらのニュースレターに返信する形でご連絡くださいませ。
    あの4分の3拍子のアップテンポなお囃子の渦の中に身を置く体験は、
    きっと特別な時間となります。

     

    Japan Craft Book プロジェクト 代表
    稲垣麻由美
    official@japancraftbook.com

    ーつづくー

  • 【vol.41】刊行イベント「画・書・紙」展 ー「神議り」によって  ー

    【vol.41】刊行イベント「画・書・紙」展 ー「神議り」によって ー

    ある日、
    「日本の神様の物語を、日本の紙(和紙)にのせて世界へ届けたい」
    と思い立ちました。

    2021年夏の終わりのことです。

    といっても、綴り、描きたいのは、記紀神話の世界ではなく、
    もっと根源的なエネルギーのようなもの。

    古から語り継がれている縁起や伝承を、
    その地で生まれた紙に宿してみたい、と強烈に思ったのです。

     

    あれから2年半ちょっと。
    それを実現することがどれほど手間を伴うことかもわからず、
    周りを巻き込んでしまったのですから、無責任極まりありません。

    でも今は、全てのことが、私の意志ではなく、
    「神議り」によって導かれてきたのだと確信しています。

    でなければ、各分野でこれほどのプロフェッショナル達に、
    出逢えなかったでしょう。

     

    さて、『神迎え』特装版の試作品ができあがったときに、
    Japan Craft Bookの一番の価値は何ですか?」と、
    弊社スタッフがプロジェクトメンバーの何人かに尋ねた記録が残っています。

    今回、少しご紹介させてください

     

    【画・水野竜生】
    「『神迎え』を手に取ると、ページをめくるたびに清々しい気持ちになります。めくることで神社に参拝しているような本。それがJapan Cract Book 『神迎え』の特別な部分だと感じます」

     

     

    【アートディレクション・デザイン 谷さや】 
    「このアートブックのキーワードは集結。画家、文筆家、デザイナー、
    校正、和紙工房、製本、書家、翻訳家、そして特別監修として焼火神社の宮司。
    ひとつの作品の制作にあたり、これだけのスペシャリストが自ら集っていることが
    Japan Craft Book の大きな価値だと思います」

     

    【プロダクトディレクション 篠原慶丞】 
    「これまでたくさんの本を作ってきました。
    特別な本というのは自費出版されることが多いですが、
    Japan Craft Bookは、発起人の自費出版ではなく、出版事業として、
    伝統工芸を巻き込んだ経済の流れを作ろうとしていることに価値があります。
    一般的な流通にのる本とは、生まれが違うこの作品が、
    出版業界や市場にどんなインパクトを及ぼすかが非常に楽しみです

     

    【表装美術家・マスミ東京 横尾靖】  
    「機械的でコスパや回転率が重視される世の中で、
    この本は〈自然〉を軸として作られました。
    八百万の神々、太陽の神や風の神が詰まっていると感じます。
    効率や経済中心ではなく、自然を中心に考えた人々が結束した結果、
    生まれたのがJapan Craft Book『神迎え』です。
    そのことが神様にとっても一番喜ばしいことではないでしょうか」

     

    『神迎え』刊行記念
    ー「画・書・紙」トークイベント&展示会ー

    .  

    水野竜生の『神迎え』原画、辰巳紫瑛の作品、
    石州和紙の展示をマスミ東京(大塚)で開催します。

    なお、この本に欠かせない石州和紙を提供してくださった
    石州半紙技術者会会長の西田誠吉氏が、トークイベントのために
    島根県浜田市より駆けつけます。

    制作の裏側と伝統工芸の今とこれからについて語ります。
    隠岐焼火神社での奉納風景などをおさめたムービーも上映予定。
    ぜひ、お気軽に足をおはこびください。

     

    また、朗読家 飯島晶子さんに『神迎え』の朗読をお願いしております。
    こちらもお楽しみにお越しください。

     

    《 日時 》
    トークイベント:4月13日(土) 14:00〜16:00 (13:30 開場)
    展示:4月6日(土)〜20日(土) 10:00〜17:00(日曜休廊)

    《 会場 》
    マスミ東京 @masumi.tokyo
    〒170-0002
    東京都豊島区巣鴨4丁目5-2 2F
    (JR山手線 大塚駅北口徒歩6分)

    《 参加費 》
    800円(資料・手土産付き/展示の観覧は無料)
    Peatixイベントページより、もしくはお電話で(TEL 050-3577-9428 一凛堂)お申し込みください。
    https://kamimukae-2024-april.peatix.com/

    《 登壇 》
    画:水野竜生
    書:紫瑛
    紙:横尾 靖(マスミ東京)
    紙:西田誠吉(西田和紙工房)
    プロジェクト代表:稲垣麻由美

    朗読:飯島晶子
    https://www.voicek.co.jp/

     

    《 お問い合わせ 》
    株式会社一凛堂
    official@japancraftbook.com
    TEL 050-3577-9428

    最後になりましたが、3月16日−18日に鎌倉で開催した
    神迎え』展示発表会には、本当にたくさんの方にお越しいただきました。
    心より御礼申し上げます。

    石州和紙に描いた水野氏の原画をみなさまにご覧いただき、
    多くの方が「あっ、今にも踊り出しそう」とおっしゃられたのがとても印象的でした。
    ずっと応援しつづけてくださった皆様とお目にかかれ、
    大変嬉しく、感謝の思いでいっぱいでした。

    東京での展示・トークイベントは、
    より深くお話ができる場になろうかと思います。
    お待ち申し上げております。

     

    Japan Craft Book プロジェクト
    代表  稲垣麻由美
    official@japancraftbook.com

    ーつづくー