カテゴリー: Japan Craft Book メールマガジン

Japan Craft Book メールマガジンのバックナンバーです。HPが公開するまでの間、プロジェクト代表稲垣の個人ページで公開いたします。

  • 【vol.28】日本の伝統文化を世界へ。若い世代へ。 表装美術家・横尾靖氏

    【vol.28】日本の伝統文化を世界へ。若い世代へ。 表装美術家・横尾靖氏

    Japan Craft Bookプロジェクトの柱の一つに和紙を使う、というものがあります。

    度々お伝えしている 「日本の神様の物語を日本の紙に綴る、描く」というコンセプトです。

    そして、どんな和紙でもよいというのではなく、その物語、題材となる神社と所縁のある和紙を使う、と決めています。

    今進めているのは、島根県・隠岐諸島・西ノ島に鎮座する「焼火(たくひ)神社」の物語ですので、島根県の石州和紙を使って本作りをしています。

    例えば、次の本が福井県の神社を題材としたものとなれば越前和紙、三重県の神社であれば伊勢和紙・・・と、日本各地の和紙工房とご縁が広がっていくことをイメージして進めています。

    また、Japan Craft Bookを作り続けることで、日本の伝統工芸を身近に感じていただくきっかけの一つとなり、伝統工芸が存続していくささやかな一助になればと願っています。

    (こちらが楮です。和紙は、「楮を育てる」ところからスタートしていることを、案外忘れがちかもしれません)

    ただ、まさに「言うはやすし、行うは難し」を身をもって感じているところです。

    「どの和紙が本作りに適しているか」からスタートしたのではなく、
    「石州和紙の特徴はなにか」
    「この薄さと強靭さ。滑らかさ。その魅力を最大限に伝えるにはどういう形状にすべきか」
    「手漉き和紙を活かす印刷方法とは?」
    からスタートしているわけですから、試行錯誤の連続です。

    (東京都豊島区にあるマスミ東京  横尾靖氏)

    そんな中、表装美術家であり、株式会社マスミ東京の代表取締役でもある横尾靖さんが伴走してくださっているのは非常に心強く、有難い存在です。

    横尾さんは、「日本は伝承の文化であり、表具は究極の調和」とおっしゃり、その美しさを世界へ、また若い世代へ伝統文化を伝えるべく日々奔走しておられます。

    和紙に対する知識がほとんどなかった私に、「手漉き紙1枚1枚に、ものすごい人のエネルギーが宿っている」と和紙のイロハから教えてくださいました。

     

    「何事もそうですが、本物の良さというのは、時間が経つほどにわかるものです。和紙は漉いた直後は赤児のようなもので、2年3年・・・と経つにつれ、機械漉き和紙との違いがはっきりしてきます。手漉き和紙は時間が経つほどに育ち、強くなり、色が白くなるのです」と話してくださった時、それを自分の目で見てみたい、自分の手で感じたい、と強く思いました。

     

    ちなみに、2021年に開催され、大きな反響を呼んだ「インド独立75周年・日印国交樹立70周年記念 『ブッダと白隠禅師展』」での掛け軸、46幅分の仕立てを手掛けられたのも横尾さんです。

     

     

    私は幸いにもマスミ東京のショールームにて、これらの作品をじっくり拝見する機会を得、まさにその調和の美に圧倒されました。そして、じっと眺めているうちに、自分がどこにいるのか、自身の存在があやふやになり、その場、その空間と一体となったように、一瞬感じたのです。

     

    また先日、こんなことがありました。
    『神迎え』特装版に水野先生の原画を納めるにあたり、裏打ちしていただきたいとご相談に上がったのですが、しばし絵を手にとって眺められた後、「それは不要ではないでしょうか」と仰ったのです。

    私は単純に裏打ちするほど価値が上がる、丁寧に扱っている証になる、と思い込んでいたのですが、「この繊細な手漉き和紙に直接描かれているからこそ感じ取れるものがある。それを大事にした方がよいのではありませんか」ときちんと反対してくださったのです。

    中途半端な知識で判断することの怖さに、ハッとしました。

    「時間をかけて丁寧に作っていくこと
    思いをのせていくこと
    それは必ず誰かの心を動かす」

    そんなことを教えていただきながら、進めています。

     

    <横尾 靖プロフィール>
    表装美術家
    一般社団法人「文化遺産調査研究保存継承機構『ゆらび』」事務局長。
    1980年からの13年間、大手電気通信会社に勤務し、アフリカのケニアを始めとする東南部諸国に滞在。97年に株式会社マスミ東京の代表取締役社長に就任。日本の伝統文化である表装文化を世間に広めるべく、国内はもとよりロシア、上海、オランダ、ロンドン、イタリア、フランス、アメリカ(NY・ボストン)などで、展覧会や公演、ワークショップを企画して、広く文化交流を行っている。
    曽祖父は尾崎紅葉。

    株式会社マスミ東京
    https://www.masumi-j.com/

     

    今号もありがとうございました。

     

    Japan Craft Book プロジェクト

    代表  稲垣麻由美

    official@japancraftbook.com

     

    ーつづくー

     

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  • 【vol.27】神々の跳梁 ー『神迎え』特装版に水野竜生先生の原画をー

    【vol.27】神々の跳梁 ー『神迎え』特装版に水野竜生先生の原画をー

     

     

    このところ、空が荒れています。
    かみなりの語源が「神鳴り」だったことを思い出しました。

    今も「雷」ではなく、「神鳴り」と日本人が使い続けていたとしたら、我々は独自の感性をもう少し宿し続けられたのではないか、と考えたりします。

    ちなみに、「天晴れ(あっぱれ)」は、太陽神である天照大神が岩戸の中から再び姿を現わし、そのために天が晴れ、光が射したときの様子から生まれた言葉といわれています。

    さらに、その光によって神々に日があたり、面(顔)が白くなった状態を「面白」といい、そこから「おもしろい」が生まれています。

    また、「楽し」は日が射し、よかったよかったとみなで喜び、心が浮き立つままに自然と手が伸びて、「手伸し(たのし)」く踊り始めた様子が語源だそうです。

    こんなところからも、日本人ならではの、神様との距離感が感じ取れます。

     

     

    さて、皆さまへお知らせです。
    『神迎え』特装版に、水野竜生先生の原画を1枚添えてお届けすることが決まりました。

    石州和紙に朱の岩絵具を何度も重ね塗りし、その上に神楽を舞う社家を描いた作品です。

    左手に幣、右手に鈴を持って舞う幣舞。その年に生まれた赤児を抱いて舞う巫女の姿。アップテンポな囃子にあわせ登場する猿田彦、戦の神である建雷之神・・・。

    1点1点の作品がどれも実に表情豊かで、さやさやと擦れる幣の音、巫女が振る鈴の音、華やかな鉦や太鼓の音までもが聞こえてくるようです。

     

       

     

    また、こうして作品をずらりと並べ、ずっと眺めていると、舞い手たちを描いたはずなのに、あの場に舞い降りともに過ごした神々の跳梁を描いたもののように、私には見えてきます。

    神楽の語源は「神座」。
    来臨する神の座であり、来臨した神と人間がともに舞い遊ぶひとときなのですから、目の前で舞っているのが神なのか、人間なのかわからない状態こそ、ほんとうの神楽なのではないかと考えたとき、まさに、この絵こそ、と感激しています。

     

     

    今のところ、特装版は限定30部の発売予定ですが、どの作品がお手元に届くかはわからない、そんなことも楽しんでいただければと思います。

    とにかくあと一息、完成に向けて頑張ります!


    アーティスト・水野竜生 紹介動画

    https://youtu.be/AaarBkrNU9s
    https://youtu.be/inZvTy1TvGM
    https://youtu.be/U0lK-NkZwR4


    今号もありがとうございました。

    Japan Craft Book プロジェクト 

    代表  稲垣麻由美

    official@japancraftbook.com

    ーつづくー

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  • 【vol.26】見る者を静寂な世界に誘う。書家・辰巳紫瑛

    【vol.26】見る者を静寂な世界に誘う。書家・辰巳紫瑛

    前回のニュースレターの中で、隠岐島前神楽の神楽歌の中にある一節


    東を拝めば神が降りる。
    諸々の神も花の様に美しく見える。

    南を拝めば神が降りる。
    諸々の神も花の様に美しく見える。

    西を拝めば神が降りる。
    諸々の神も花の様に美しく見える。
    北を拝めば神が降りる。
    諸々の神も花の様に美しく見える。

    (この書も紫瑛先生によるものです。実際の書籍には違った形で掲載予定です)

    をご紹介したところ、
    ある方から、次のようなメッセージをいただきました。

    「東西南北どこを拝んでも神様がいて花に見える……。
     私が幼い頃に母に言われていた言葉を思い出しました。 
    『あなたが、神様を求める時、必要な時に、その場所に神様はいる。 空を見上げれば空に、山にも海にもどこにでも。 神様って特別な場所にいるのではないよ。あなたの心にいてくださるよ。』 
    私がベッドで泣いていた時の言葉です。 
    『たかちゃんがあんまり泣くから、お天道様が一緒に泣いてくれてるわ』
     母はまだ健在なのですが、今このメッセージを書いていて、なんだか泣けてきました。」


    なんて素敵なお母様なのでしょう。
    たかちゃんの心にぱっと咲いた花が、私にも見えたような気がしました。

    どんなときも神様がいてくださるから大丈夫。
    そんな言葉をかけてもらって育った子どもは、心根のやさしい人になるはずです。
    そして、その優しさは、いつしか誰かを守る強さをも宿していくことでしょう。
    ありがとうございました。

    さて、今回は、
    『神迎え』の題字と本文の一部の書を担当してくださった書家・辰巳紫瑛先生をご紹介します。

        

    (あえて、逆さです。この角度、美しいと勝手に思っております)


    <プロフィール>
    書家・辰巳紫瑛 (たつみ しえい)

    6歳の時から書を学び始める。
    生き物のように動く筆運びに夢中となり、9歳の時に「ゆめ」で文部大臣賞を受賞。
    高校時代に書の古典である王羲之の「蘭亭序」と空海の「風信帖」に触れ、益々書の世界に魅了されるようになる。専門的な知識と技術を学ぶため、日本で唯一特別 書道科のある奈良教育大学特別書道科に進学。東洋で古来受け継がれてきた伝統文化としての書を学究。さらに同大学院にて、五書体(篆・隸・草・行・楷)の中でも行・草体を第一の研究分野とする。大学時代より宮崎葵光の門下に入り、現在も師事。
    近年は禅語や漢字仮名交じり書(調和体)にも学究の幅を広げている。
     
    2015年より毎年、稲毛神社の「有名人慈善絵馬展」にて推薦作家として出品。
    2022年・2023年「日本の書展」出品。2007年には桐蔭学園中学校にて書道講師。
     
    読売書法会幹事 
    小田原にて青冰書道会主宰 
    神職者を対象とした書の指導などにもあたっている。
    大阪府出身

     

     

    函を開き、最初に目に飛び込んでくるこの美しく静かな題字が、この本全体の印象に大きく影響していることは間違いありません。


    実は、水野先生から絵をお預かりした段階では、本の題字は、あえて既存のフォントから選び、シンプルに仕上げる予定でした。
    (もちろん、こだわって選ぶわけですが)

    1つの土台(本という小さな世界)の上に、複数のアーティストの才を掛け合わせてしまうと、不協和音を生むことがしばしばあり、その怖さをよく知っていたからです。

    ですが、ご縁というのは不思議です。
    このプロジェクトがある程度進んでから、紫瑛先生と導かれるように出逢いました。

    最初にお目にかかった時、
    私が「何をなさっている方ですか?」とお尋ねすると
    「大したことはしておりませんが、永く、書だけは続けております」
    と、遠慮がちにおっしゃったのをよく覚えています。


    さらに、
    「最近の書家の方を見ていると、書そのものよりもパフォーマンス優先のような気がするのですが・・・」と私見をお伝えしたところ、

    「そうですね。書道というものは、自己表現という『個』や『技法』のアピールをするのではなく、余計なものを盛り込まず、削ぎ落とすからこそ宿る品格を追究してきた道なのです。心を整えるための書を、私はもっとお伝えしていきたいのですが・・・」
    と話してくださいました。


    この瞬間、私の考えは変わりました。

    紫瑛先生にジャパンクラフトブックプロジェクトの概要をお伝えし、
    「『神迎え』と書いていただけませんか。でも、もしかしたら、もしかしたらですよ、せっかく書いていただいたにもかかわらず、使用しないなどということもありうるのですが・・・」
    と、失礼千万なお願いをしたのです。


    それから10日後・・・

     

     

    様々な書体で書かれた「神迎え」が送られてきました。1枚1枚、似ているようで、どれも確かに違う存在感を放っていました。


    また、添えられた一筆箋には、「神楽の世界観、そして、みなさまの作品の邪魔にならないよう、なるべく削ぐように努めました。」とありました。

     

     

    この中の1枚が、箔押しとなって表紙に納まり、見る者を静かに神楽の世界へと誘ってくれます。
    そして、今となっては、この題字なしにこの本の存在が成り立たないとさえ思っています。

    紫瑛先生、ありがとうございました。

       
    【 Japan Craft Bookプロジェクト進捗状況】

    「いつごろ完成予定ですか?」とのお問合せをいただくことが増えました。
    ありがたいことです。
    そして、お待たせしてしまい、申し訳ございません。

    まずは、特別限定版の『神迎え』30部を秋までに完成させるべく、進めています。
    シリアルナンバー入りで刊行します。

    函にも、和紙をどう活かすか、という面倒な注文を、デザイナーの谷さやさんにお願いしているところです。引き続き見守っていただけると幸いです。
    どうぞ、よろしくお願い致します。

    なお、ご質問やご要望等ございましたら、こちらのアドレスまでご連絡ください。
    きっと励みになります。
    official@japancraftbook.com

    今号もありがとうございました。

    JapanCraft Bookのインスタグラムを地味に発信しています。

    制作の過程を後追いですがご覧いただけます。よろしくお願い致します。
    https://www.instagram.com/japan_craft_book/

    Japan Craft Book プロジェクト 

    代表  稲垣麻由美

    ーつづくー

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    https://japancraftbook.com/